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1 財務諸表規則設定の目的
財務諸表規則の目的は企業の利害関係者に対し「企業の財政状態、経営成績及びキャシュフローの状況に関する判断を誤らせないために必要な情報を提供することを目的する。」と記載され、財務諸表規則が企業の利害関係に有用な会計情報を提供することを要求している。
■財務諸表規則の性格 |
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営利性を目的とし、外部利害関係者へ会計情報を提供する。
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説明責任履行機能 :株式会社は株主が経営者に財産運用を委託しており経営者はその結果を財務諸表を通して報告する。 |
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利害調整機能 :企業の外部利害関係者に対し、企業の経済活動の内容とその結果を報告するため手段。 |
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情報提供機能 :株主・債権者等の外部利害関係者がそれぞれの利
害に基づいて将来の意志決定をするための情報を提供する手段。 |
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2 企業の財務諸表
一般企業の財務諸表は、貸借対照表及び損益計算書、株主資本等変動計算書、キャシュ・フロー計算書、付属明細書からなります。
(1)貸借対照表作成の基準
貸借対照表は、企業の財政状況を表示するものであり、資産と負債に区分され、その資産(負債)は、流動資産(流動負債)と固定資産(固定負債)の順に表示する。その表示される勘定科目は正常営業循環基準及び1年基準のルールにより表示されます。
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- (イ)正常営業循環基準(ノーマル・オペレーティング・サイクル)
- 通常の取引により生じた資産・負債は、流動資産・流動負債に計上する。
例えば、売上の未収入金は、その回収期間が1年以上であっても流動資産に計上し、商品等の代金未払(買掛金)は、その支払期間が1年以上であっても流動負債に計上する。
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- (ロ)1年基準(ワン・イヤー・ルール)
- 1年以内に回収される債権は流動資産に計上し、1年以内に支払われる債務は流動負債に計上する。
例えば、職員等への貸付金の回収が1年を超える場合は、固定資産へ計上し、1年以内に支払わなければならない借入は、流動負債へ計上する。
この区分は、正常営業循環基準が優先されます。 |
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(2)損益計算書作成の基準
損益計算書は、企業の一定期間の経営成績を表す計算書です。つまり、収益から費用を差し引いて利益(損失)を計算します。損益計算書は企業の経営成績を表すものであり、その利益(損失)がどのようにして生じたか明らかにする必要があります。
例えば、企業の営業活動により生じた利益と不動産等を売却した利益が同一に表示されては本来の企業の経営状態を的確に判断することが困難となります。
このため主たる企業の通常の営業で生じたもの、それ以外で生じたものかを明らかにするため損益計算書は、「経常損益」と「特別損益」の2つに大別しています。
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● 主たる営業活動で生じる損益項目 |
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:経常損益 経常利益(経常損失) |
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● それ以外の経営活動により生じた損益項目 |
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:特別損益 税引前当期純利益 |
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(税引前当期純損失) |
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(3)キャシュ・フロー計算書作成の基準
キャッシュ・フロー計算書の作成目的は、企業の資金の状況を明らかにするために、活動内容に従い、一定期間に属するすべての資金の収入と支出の内容を記載し、その増減の状況を明らかにすることをです。
つまり、収益や費用は、採用する会計方針により計上額が左右されることから比較可能性が必ずしも確保されていない事、会計上、利益があっても資金的に不足している場合もあり企業の資金状況を明らかにするための資料が必要となります。キャッシュ・フロー計算書は、下記に区分して計算します。
■キャッシュ・フロー計算書の分類 |
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● 営業務活動によるキャッシュ・フロー
● 投資活動によるキャッシュ・フロー
● 財務活動によるキャッシュ・フロー
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■計算区分の内容 |
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- @ 営業務活動によるキャッシュ・フロー
- 経常損益計算の対象となった取引の他、投資活動及び財務活動以外の取引によるキャッシュ・フローを記入する。
- A 投資活動によるキャッシュ・フロー
- 固定資産の取得及び売却、有価証券の取得及び売却よる収支、現金同等物に含まれない短期投資資産の取得及び売却等によるキャッシュ・フローを記入する。
- B 財務活動によるキャッシュ・フロー
- 資金の調達及び返済によるキャッシュ・フローを記入する。
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(4)付属明細表作成の基準
付属明細表の作成目的は、会社計算規則第6章に「付属明細表は、貸借対照表、損益計算書及び、株主資本等変動計算書及び個別注記の内容を補足する重要に事項を表示しなければならない。」と示されています。
これは、企業会計原則の一般原則 「明瞭性の原則」「重要性の原則」から財務諸表が作成されており、財務諸表の科目について、貸借対照表・損益計算書・キャッシュ・フロー計算書は、集約化を計り、一覧性を重視して設定しているため、詳細な情報は付属明細表によって補完して開示します。
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