3-1 勘定科目決定の拠りどころ 財務諸表規則の体系
3-2 資産科目の定義と具体例
3-3 負債科目の定義と具体例
3-4 収益科目の定義と具体例
3-5 費用科目の定義と具体例
3-6 個人事業特有の勘定科目
財務諸表規則に基づく損益計書は、売上高と売上原価・販売費及び一般管理費、営業外収益と営業外費用、特別利益と特別損失に区分されます。
売上原価、販売費及び一般管理費、営業外費用等の定義は次の通りです。
1 売上原価の定義と具体例
勘定科目
内 容
例
商品仕入
商品の販売及び役務の提供を行うために直接要した費用
商品、製品
2 販売費及び一般管理費の定義と具体例
勘定科目
内 容
例
給 与
企業に従事する役員、従業員に対する給与、手当
ここでいう手当てとは、役職手当、住宅手当、家族手当、時間外手当、通勤手当等をいう
●
通勤費を給料手当・雑給に計上
通勤費については、「通勤費」勘定で計上し、他の旅費とは区別をし、旅費交通費には計上しません。
賞 与
企業に従事する従業員に対して、支給済み及び支給する金額が確定している賞与額
賞与
引当金
繰入額
賞与の支払日にはなっていないが、賞与の支払責任が生じた額を見積もり計上する。
退職
給付費用
企業に従事する役員、従業員に対する退職金、一時金、退職年金等将来において支給される退職給付のうち、当該会計期間の負担に属する金額
法定福利費
企業に従事する役員、従業員に対する社会保険料、労働保険料、各種組合法などの事業主負担額
健康保険料、厚生年金、雇用保険料
労働災害補償保険料
減価償却費
有形固定資産及び無形固定資産の計画的・規則的な取得原価の配分額
器機賃借料
固定資産に計上を要しない器機等のリース料、レンタル料を器機賃借料
地代家賃
土地、建物などの賃借料を地代家賃として処理
修繕費
機械の整備、部品交換等、定期的に発生する軽微な故障及び損傷の修繕費用のことで、有形固定資産の修理、機能維持のための支払を処理する勘定
有形固定資産の修理、改良など
固定資産税等
固定資産税、都市計画税等の固定資産の保有に係る租税公課
車両関係費に該当するものは除く
車両関係費
救急車、検診車、巡回自動車、乗用車などの燃料、車両検査、自動車保険料、自動車税等の費用
教育研修費
講習会参加に係る会費、旅費交通費、研修会開催のために招聘した講師に対する謝金等職員研修に係る費用
研修のための出張旅費
福利厚生費
福利施設負担額、厚生費など従業員の福利厚生のために要する法定外福利費に係る費用
従業員の診療、健康診断などを行った場合の減免額、その他衛生、保健、慰安修養、教育訓練など
●
社会保険料を福利厚生費に計上
社会保険料は「法定福利費」に計上します。
福利厚生費は、社員の職場環境改善のために会社が任意に支出するもので、義務として支出する法定福利費とは異なります。
●
従業員に対する福利厚生費の計上限度
従業員の福利厚生のために支出した費用であっても、一定の限度を超過したものについては、現物給与として従業員の所得税の計算に含まれます。
忘年会などの1次会費用については、福利厚生費となりますが、2次会以降の費用は従業員であっても、接待交際費に該当します。
以下、従業員にとって所得税法上非課税となる要件を表示します。
旅費交通費
業務のための出張旅費に係る費用
職員被服費
従業員に支給または貸与するユニフォームなどの購入費用及び洗濯に係る費用
通信費
電信電話料、インターネット接続料、郵便料金
広告宣伝費
●
取得価額が10万円以上の看板を広告宣伝費に計上
自社の広告宣伝用の看板などで取得価額が10万円未満のものは広告宣伝費として費用計上できますが、10万円以上のものは固定資産に該当します。また、税法上の取扱では会社の規模によって10万円以上でも費用計上できる特例があります。
備品消耗品費
事務用その他の器械、器具のうち、固定資産の計上基準に満たないもの、または1年以内に消費するものに係る費用
会議費
運営諸会議など管理のための会議に係る費用
水道光熱費
電気、ガス、水道、重油などに係る費用
保険料
法人契約生命保険、火災保険など保険契約に係る費用
●
保険料を全額損金に計上
個々の契約内容を確認し、損金計上できる割合を確認する必要があります。
また、契約者、被保険者、受取人の違いにより、その処理も異なりますので、個別の保険契約ごとに検証しなければなりません。
交際費
接待費及び慶弔など交際に要する費用を処理する勘定
会食、土産品、ゴルフなど
諸会費
各種団体に対する会費、分担金
租税公課
租税及び町会費などの公共的課金
印紙代、登録免許税、事業所税、固定資産税
●
源泉税納付を預り金とせず、租税公課で処理
確定法人税等、消費税は前期において未払税金等の計上がある場合、租税公課でなく、未払金の取り崩し処理をします。
寄付金
●
神社への寄付の取扱い
事業とは関係の無い者に対して、見返りを求めない支出は寄付金となります。
貸倒損失
売掛金の徴収不能額のうち、貸倒引当金で填補されない部分の金額に係る費用
貸倒引当金
繰入
当期会計期間に発生した売掛金のうち、徴収不能と見積もられる部分の金額
印紙代、登録免許税、事業所税、固定資産税
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引当金の繰入額は損益計算書上の販管費に計上
各種引当金は、販管費に計上することになります。
雑費
販売費・一般管理費の中で少額かつ重要性の低い費用を処理する勘定
数百円程度の日常品の購入など
3 営業外費用の定義と具体例
勘定科目
内 容
例
支払利息
短期借入金及び長期借入金に係る支払利息
有価証券
売却損
売買目的等で所有する有価証券を売却した場合の売却損を処理する勘定科目
その他の
営業外費用
前記の科目に属さない営業外費用。尚、金額が大きいものについては、独立の科目を設定する
4 特別損失の定義と具体例
勘定科目
内 容
例
固定資産売却損
固定資産の売却価格がその帳簿価格に不足する差額を処理する勘定科目
固定資産除却損
固定資産を廃棄した場合に処理する勘定科目
●
期中で固定資産を除売却した場合の減価償却費の計上と益金(損失)の計上
基本的には、除売却した月までの減価償却費を計上し、償却後の簿価をもって益金(損失)計上を行います。