3-1 勘定科目決定の拠りどころ 財務諸表規則の体系
3-2 資産科目の定義と具体例
3-3 負債科目の定義と具体例
3-4 収益科目の定義と具体例
3-5 費用科目の定義と具体例
3-6 個人事業特有の勘定科目
1   流動負債科目の定義と具体例

流動負債とは、経常的に行われる企業活動による取引で生じた買掛金、支払手形等の債務及びその他期限が1年以内に到来する債務並びに引当金のうち、賞与引当金のように、通常1年以内に使用される見込みのもいう。

勘定科目 内  容
買掛金 商品の購入取引に基づいて発生した未払債務をいう  
間違いやすい例
掛けで購入した事務机を、「買掛金」勘定に計上
本来の営業活動以外の取引から生じる債務は「未払金」勘定で処理します。
支払手形 営業活動に基づいて発生した債務の支払のために振り出した手形債務をいう。 約束手形・為替手形
間違いやすい例
約束手形を振出して金融機関から借入、振出した手形を「支払手形」勘定で計上
借入のために金融機関を受取人として発行した約束手形は実質的には借入金の担保として振出したものであり、「短期借入金」として処理します。
短期借入金 金融機関、金融公庫などの外部からの借入金で、当初の契約において1年以内に返済期限が到来するものをいう 短期銀行借入、短期取引先借入、短期役員借入
間違いやすい例
期間3年の金融機関からの借入を「短期借入金」勘定計上
決算日の翌日から起算して返済期限が1年以上の場合は、「長期借入金」勘定を使用します。
未払金 備品など固定資産の購入取引に基づいて発生した未払債務や通常の取引に基づいた買掛金の対象となる商品以外の営業費用に対する未払債務をいう 株式購入の未払金、不動産取得の未払金
未払費用 時の経過に依存する継続的な役務給付取引において、既に役務の給付は受けたが、会計期日が到来せずその対価の支払債務が確定していない金額をいう  
前受金 営業収益の前受額その他これに類する前受額をいう  
預り金 相手から一時的に金銭を受け入れ、後日その者又は第三者にこれを返還すべき債務  
従業員
預り金
源泉徴収額及び社会保険料の徴収額 源泉所得税、住民税、健康保険料、厚生年金、雇用保険料、介護保険料
前受収益 時の経過に依存する継続的な役務の提供取引に対する前受け分のうちの未経過をいう  
賞与
引当金
賞与規定に定められた支給対象期間に基づいて、定期に支給する従業員賞与のうち、当期に属する部分の係る引当金をいう  
その他の
流動負債
前掲の科目に属さない科目。ただし、金額の大きいものについては独立の勘定科目を設けて処理することが望ましい 仮受金


2   固定負債科目の定義と具体例

固定負債とは、借入金及び当該企業活動以外の活動によって発生した債務における支払いの期限や資産に係る補助金の前受収益については、貸借対照表日の翌日から起算して1年を超えるものを固定負債に計上する。

勘定科目 内  容
長期借入金 金融機関、金融公庫などの外部からの借入金で、当初の契約において1年を越えて返済期限が到来するものをいう 長期銀行借入、長期取引先借入、長期役員借入
長期未払金 契約等により既に確定している債務のうち、未だその支払が終わらないもので支払期限が1年を超えるものをいう 車輌の分割購入
退職給付
引当金
退職給付に係る会計基準に基づき従業員が提供した労働用役に対して将来支払われる退職給付に備えて設定される引当金のことをいう  
その他の
固定負債
前掲の科目に属さない科目。ただし、金額の大きいものについては独立の勘定科目を設けて処理することが望ましい 長期預かり金、長期預り保証金、長期預り敷金
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