6-1 中小企業の会計に関する指針とは?
6-2 金銭債権と貸倒れの要点
6-3 有価証券と棚卸資産の要点
6-4 経過勘定等の要点
6-5 固定資産と繰延資産の要点
6-6 金銭債務と引当金の要点
6-7 税金と税効果会計の要点
6-8 会計指針の要点〜純資産の部
6-9 会計指針の要点〜収益・費用の計上
6-10 会計指針の要点〜その他特殊項目
1   有価証券

要点
  有価証券(株式、債券、投資信託等)は、保有目的の観点から、以下の4つに分類し、原則として、それぞれの分類に応じた評価を行う。
(1) 売買目的有価証券
(2) 満期保有目的の債券
(3) 子会社株式及び関連会社株式
(4) その他有価証券
  有価証券は、「売買目的有価証券」に該当する場合を除き、取得原価をもって貸借対照表価額とすることができる。
ただし、「その他有価証券」に該当する市場価格のある株式を多額に保有している場合には、当該有価証券を時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額(税効果考慮後の額)は純資産の部に計上する。
  市場価格のある有価証券を取得原価で貸借対照表に計上する場合であっても、時価が著しく下落したときは、将来回復の見込みがある場合を除き、時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は特別損失に計上する。

(1)有価証券の分類と会計処理の概要
有価証券は、保有目的等の観点から以下の4つに分類し、それぞれ次のように会計処理する。
@  売買目的有価証券
売買目的有価証券とは、時価の変動により利益を得ることを目的として保有する有価証券をいう。
A  満期保有目的の債券
満期保有目的の債券とは、満期まで保有することを目的としていると認められる社債その他の債券をいう。
B  子会社株式及び関連会社株式
子会社株式及び関連会社株式については、取得原価をもって貸借対照表価額とする。
C  その他有価証券
その他有価証券とは、売買目的有価証券、満期保有目的の債券、子会社株式及び関連会社株式以外の有価証券をいう。
 
(2)有価証券の取得原価
有価証券の取得時における付随費用(支払手数料等)は、取得した有価証券の取得原価に含める。なお、期末に保有している有価証券を時価評価する場合、その時価には取得又は売却に要する付随費用を含めない。
 
(3)有価証券の評価方法
取得原価の評価方法は、移動平均法又は総平均法による。
 
(4)有価証券の減損
@  市場価格のある有価証券の減損処理
満期保有目的の債券、子会社株式及び関連会社株式並びにその他有価証券のうち市場価格のあるものについて、時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は当期の損失として処理しなければならない。
市場価格のある有価証券の時価が「著しく下落した」ときとは、少なくとも個々の銘柄の有価証券の時価が、取得原価に比べて50%程度以上下落した場合をいう。
A  市場価格のない有価証券の減損処理
市場価格のない株式について、発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下したときは、相当の減額を行い、評価差額は当期の損失として処理しなければならない。
市場価格のない株式の実質価額が「著しく低下したとき」とは、少なくとも株式の実質価額が取得原価に比べて50%程度以上低下した場合をいう。
 
(5)貸借対照表上の表示
売買目的有価証券及び事業年度の末日後1年以内に満期の到来する社債その他の債券は流動資産に属するものとし、それ以外の有価証券は、投資その他の資産に属するものとする。
 
(6)損益計算書上の表示


2   棚卸資産

要点
  棚卸資産の取得原価は、購入代価又は製造原価に引取費用等の付随費用を加算する。ただし、少額な付随費用は取得原価に加算しないことができる。
  棚卸資産の評価基準は、原価法又は低価法を用いる。
  棚卸資産の評価方法は、個別法、先入先出法、後入先出法、総平均法、移動平均法、売価還元法等、一般に認められる方法とする。なお、最終仕入原価法も、期間損益の計算上著しい弊害がない場合には、用いることができる。
  原価法を採用した場合において、棚卸資産の時価が取得価額より著しく低いときは、将来回復の見込みがある場合を除き、時価で評価しなければならない。

(1)棚卸資産の評価方法
棚卸資産の評価方法は、個別法、先入先出法、後入先出法、総平均法、移動平均法、売価還元法等、一般に認められる方法による。なお、期間損益の計算上著しい弊害がない場合には、最終仕入原価法を用いることもできる。
 
(2)棚卸資産の評価損
原価法を採用した場合において、棚卸資産の時価が取得原価より著しく低いときは、将来回復すると認められる場合を除き、時価で評価しなければならない。また、次の事実が生じた場合には、評価損を計上しなければならない。
@  棚卸資産について、災害により著しく損傷したとき
A  著しく陳腐化したとき
B  上記に準ずる特別の事実が生じたとき
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