6-1 中小企業の会計に関する指針とは?
6-2 金銭債権と貸倒れの要点
6-3 有価証券と棚卸資産の要点
6-4 経過勘定等の要点
6-5 固定資産と繰延資産の要点
6-6 金銭債務と引当金の要点
6-7 税金と税効果会計の要点
6-8 会計指針の要点〜純資産の部
6-9 会計指針の要点〜収益・費用の計上
6-10 会計指針の要点〜その他特殊項目
1   税金費用・税金債務

要点
  法人税、住民税及び事業税に関しては、現金基準ではなく、発生基準により当期に負担すべき金額に相当する額を損益計算書に計上する。
  法人税、住民税及び事業税の未納付額は、相当額を流動負債に計上する。

(1)法人税、住民税及び事業税
当期の利益に関連する金額を課税標準として課される法人税、住民税及び事業税は、発生基準により当期で負担すべき金額に相当する金額を損益計算書において、「税引前当期純利益(損失)」の次に「法人税、住民税及び事業税」として計上する。また、事業年度の末日時点における未納付の税額は、その金額に相当する額を「未払法人税等」として貸借対照表の流動負債に計上し、還付を受けるべき税額は、その金額に相当する額を「未収還付法人税等」として貸借対照表の流動資産に計上する。
なお、更正、決定等により追徴税額及び還付税額が生じた場合で、その金額に重要性がある場合には、「法人税、住民税及び事業税」の次に、その内容を示す適当な名称で計上しなければならない。
 
(2)源泉所得税等の会計処理
受取配当や利子に関する源泉所得税のうち、法人税法及び地方税法上の税額控除の適用を受ける金額については、損益計算書上、「法人税、住民税及び事業税」に含めて計上する。
 
(3)消費税等の会計処理
消費税等(地方消費税を含む。)については、原則として税抜方式を適用し、事業年度の末日における未払消費税等(未収消費税等)は、未払金(未収入金)に計上する。ただし、その金額の重要性が高い場合には、未払消費税等(未収消費税等)として別に表示する。


2   税効果会計

要点
  税効果会計の適用に当たり、一時差異(会計上の簿価と税務上の簿価との差額)の金額に重要性がない場合には、繰延税金資産又は繰延税金負債を計上しないことができる。
  繰延税金資産については、回収可能性があると判断できる金額を計上する。回収可能性の判断は、収益力に基づく課税所得の十分性に基づいて、厳格かつ慎重に行わなければならない。

(1)税効果会計
@  税効果会計は、一時差異がある場合、利益を課税標準とする法人税等の額を適切に期間配分することにより、税引前当期純利益と法人税等を合理的に対応させることを目的とする手続である。
A  一時差異には、未払事業税、賞与引当金、損金不算入の減損損失等一時差異が解消する期の課税所得を減額する効果を持つ将来減算一時差異と、その他利益剰余金において処理される圧縮記帳や純資産の部に直接計上されるその他有価証券評価差額金(評価差益)等一時差異が解消する期の課税所得を増額する効果を持つ将来加算一時差異とがある。
B  将来減算一時差異に法定実効税率を乗じた金額が繰延税金資産となり、将来加算一時差異に法定実効税率を乗じた金額が繰延税金負債となる。
 
(2)貸借対照表上の表示
繰延税金資産及び繰延税金負債は、これらに関連した貸借対照表上の資産・負債の分類に基づいて流動区分と固定区分とに分けて表示する。また、繰越欠損金等に係る繰延税金資産及び繰延税金負債で、事業年度の末日後1年以内に解消される見込みの一時差異等に係るものを流動区分に、それ以外の一時差異等に係るものは投資その他の資産として表示する。なお、同じ区分に属する繰延税金資産と繰延税金負債がある場合には、それぞれ相殺して表示する。
 
(3)損益計算書上の表示
繰延税金資産と繰延税金負債との差額の増減額は、法人税等調整額として、法人税、住民税及び事業税の次に表示する。
 
(4)税効果会計適用における注記事項
税効果会計を適用し、一時差異の金額が重要な場合、又は税引前当期純利益に対する法人税等(法人税等調整額を含む。)の比率と法定実効税率との間に重要な差異がある場合には、会社の財産及び損益の状態を正確に判断するため、以下の注記を行うことが望ましい。
@  繰延税金資産及び繰延税金負債の発生原因別の主な内訳
A  税引前当期純利益に対する法人税等(法人税等調整額を含む)の比率と法定実効税率との間に重要な差異があるときは、当該差異の原因となった主要な項目別の内訳
B  回収可能性がなく、繰延税金資産から控除された額
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