2-1 仕訳の基礎を理解する
2-2 現金の入出金:具体的な処理事例
2-3 預金の入出金:具体的な処理事例
2-4 売掛金請求および掛仕入の処理事例
2-5 相殺取引の処理事例
2-6 受取手形の処理事例
2-7 支払手形の処理事例
2-8 給与支給の処理事例
2-9 固定資産購入時の処理事例
2-10 減価償却費の処理事例
2-11 賞与引当金の処理事例
2-12 保険積立金の処理事例
2-13 前払費用の処理事例
2-14 仮払金の処理事例
1   仕訳〜取引の記録

まず始めに、企業の経理では、取引を「資産」、「負債」、「資本」、「費用」、「収益」の5つのグループごとに、決められた勘定科目を使い記録していきます。
取引が発生すると、それを帳簿に記入していきますが、記入の際には、取引を2つ以上の取引要素に分けます。その2つ以上の取引要素を勘定科目で表現して左側に借方(カリカタ)を右側に貸方(カシカタ)を記入します。この一連の取引を記録する作業を「仕訳」(シワケ)といいます。

@  取引が発生する
A  取引の状態から、資産・負債・資本・費用・収益のどのグループに属する取引かを考える
B  グループが決定したら、そのグループの中のどの勘定科目を使うのか考える
C 勘定科目が決定したら、金額を計算する


2   勘定科目とは

勘定科目とは、誰が仕訳を行っても同じになるように、性質の類似した取引につけられた名前です。勘定科目のポイントは3点あります。

@  資産、負債、資本、収益、費用のグループごとに、利用する勘定科目が決まります。
A  勘定科目を借方に書くか、貸方に書くかで価値(金額)の増減が決まります。
B  資産・負債・資本の勘定科目は貸借対照表に対応し、費用・収益の勘定科目は損益計算書に対応します。

 仕訳の主要勘定科目
取 引 主要勘定科目
資 産 現金、預金、売掛金、建物など
負 債 買掛金、未払金、預り金、借入金など
資 本 資本金(元入金)
収 益 売上高、雑収入など
費 用 商品仕入高、給料、旅費交通費、消耗品費など


3   仕訳の方法

それでは、企業が商品を現金で仕入れたときの仕訳を考えてみます。
取引の中には、このように借方と貸方に勘定科目が一つずつのものもありますが、どちらかが二つ以上になったり、両方とも二つ以上になったりさまざまです。
ただし、あくまでも一つの取引を借方と貸方の要素に分けているだけですから借方の金額の合計と貸方の金額の合計は、必ず一致します。
これを貸借平均の原則といいます。


4   仕訳の法則

各勘定科目の借方貸方記入のきまりを仕訳法則といいます。

(借 方) (貸 方)
資産の増加 資産の減少
負債の減少 負債の増加
収益の減少 収益の増加
費用の増加 費用の減少

ポイント1 資産の増加は借方、減少は貸方
ポイント2 負債の増加は貸方、減少は借方
ポイント3 収益の増加は貸方、減少は借方
ポイント4 費用の増加は借方、減少は貸方

それでは、事例で見てみましょう。

事例1
車両運搬具100万円を現金で購入した場合
借方(資産の増加)    貸方(資産の減少)
借   方 貸   方 摘   要
車両運搬具 1,000,000円 現金1,000,000円 車両○○購入

事例2
車両運搬具100万円を購入したが代金は未払いの場合
借方(資産の増加)    貸方(負債の増加)
借   方 貸   方 摘   要
車両運搬具 1,000,000円 未払金1,000,000円 車両○○購入

事例3
売上の請求300万円を行った場合
借方(資産の増加)    貸方(収益の増加)
借   方 貸   方 摘   要
売掛金 3,000,000円 売上高 3,000,000円 梶宦

事例4
商品50万円を現金で仕入れた場合
借方(費用の増加)    貸方(資産の減少)
借   方 貸   方 摘   要
商品仕入高 500,000円 現金500,000円 梶宦

事例5
商品50万円を掛で仕入れた場合
借方(費用の増加)    貸方(負債の増加)
借   方 貸   方 摘   要
商品仕入高 500,000円 買掛金500,000円 梶宦

このように借方と貸方の組合せはさまざまですが、仕訳の法則に基づいていけば正しい仕訳ができます。
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