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1 固定資産の実査と減価償却
決算においては、固定資産として計上されている建物・車両・機械装置などについて、管理面からは実査、会計面からは減価償却費の計算が必要になる。
(1)減価償却とは
固定資産は長期間に亘って使用することが一般的です。したがって、その取得価額については取得年度に一括して費用に計上することはできず、全額を資産に計上した上で、使用する年度で費用に配分する。これを減価償却という。減価償却にあたっては、会社が選択できる方法の中から最も実態に即し,かつ税務上の要件も満たす方法を選択することが重要。
(2)償却方法
減価償の方法は定額法、定率法、生産高比例法など複数の方法がある。
2 少額減価償却資産及び一括償却資産
(1)少額減価償却資産の取得価額の損金算入の留意点
少額減価償却資産とは、取得価額が10万円未満または耐用年数が1年未満の固定資産をいう。少額減価償却資産については、法人が事業供用年度においてその取得価額を損金経理した場合にはその全額が損金として認められる。また中小法人の場合、少額減価償却資産の判定が30万円未満となる。
なお、平成18年度の税制改正において少額減価償却資産の損金算入額に限度額が設定された。具体的には平成18年4月1日以降に開始する事業年度からは、中小法人について取得価額30万円未満の減価償却資産について少額減価償却資産として損金に算入できる金額の合計額が年間で300万円までとなる。従って、300万円を超える場合には、その部分の資産については通常の減価償却もしくは取得価額20万円未満であるならば下記の一括償却のどちらかになる。
(2)一括償却資産の損金算入
一括償却資産の損金算入とは、法人が取得価額20万円未満の固定資産を取得した場合において、少額減価償却資産の特例の適用を受けなかった資産について適用がある制度である。
一括償却資産については、取得価額の3分の1(残存価額は0)を3年間継続して損金経理している場合にその金額が認められる制度。一旦、一括償却を選択した固定資産については、その途中で除却や売却した場合でも最後まで継続して損金経理することが強制される。
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月次ベースで減価償却費を計上している場合には、概算額での計上を行っていますので、一度減価償却費を戻して、正確な減価償却費を各資産別に計上する。 |
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[例] |
一年分の概算減価償却費120を月々10ずつ計上していたが、正しくは100だったので、決算時に各資産ごとに再計上した場合 |
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事業年度の途中に購入して使用開始をしたもの、又は除却や売却したものについては、当期に使用した月数のみ計上しなければならないので、注意が必要です。 |
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3 減価償却計上時の注意点
(1)事業の用に供した時期の確認
まだ会社で使用していない機械装置を事業の用に供したとしていないか確認が必要です。
例えば会社が完成する前に機械装置を会社内に搬入していたため、その日を事業の用に供した日としていたが、会社建物完成と同時に行なった据付、試運転が完了し活用ができるようになった日が正当である。
(2)少額の減価償却資産
1組、ひとそろえで10万円未満か判断しているか確認する。
例えば応接セットの入替えのため、8万円のテーブル1卓と、2万円の椅子を4脚購入した。いずれも1点10万円未満であるため備品費として損金経理したが、応接セットは通常テーブルと椅子が1組で取引されるものであるから少額の減価償却資産には該当せず、資産計上となる。
(3)一括償却資産
3年均等償却の途中のものについて除却損等の処理をしていないか確認する。
前期に取得し、一括償却資産としていたパソコンが壊れたため廃棄した場合、除却損は計上できないこととなります。
(4)中小企業者の少額減価償却資産の損金算入
取得額の合計額の制限を超えて損金算入していないか確認する。
青色申告で中小企業に該当する会社が、30万円未満の減価償却資産について前期以前から特例を利用しており、当期も事務機器を入替えることとした場合。
1台28万円のパソコンを12台購入(18年10月)し、合計額336万円の全額を損金に計上しようとしたが、2台分56万円はこの特例の対象にはならず、資産計上となる。
(5)中小企業者が機械を取得した場合の特別償却
指定事業に該当しているのか確認する。
(6)その他
届出た方法を確認して、正しく償却を行っているか確認する。
誤った耐用年数を適用して償却計算していないか確認する。
4 減価償却方法の改正について
平成19年4月より減価償却制度が改正されています。
(1) |
平成19年4月1日以降に購入した資産と平成19年3月31日以前に取得した資産で次のように改正されました。 |
【算式】
(2)新たな定率法の導入
定額法の償却率の2.5倍に設定された定率法の償却率が適用され従来より早い段階で多額の償却を行うことが出来るようになった。
(3)新たな償却方法を採用するに当たっての届出の要否
◎:届出が不要 △:届出が必要 (国税庁ホームページより)
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